アシストチンニングマシンの使い方 — 重量の設定、補助を減らしていく順番、自重に移るタイミング(2026)
アシストチンニングは、体重の一部を補助してもらいながら行う懸垂です。この記事ではその中でも、ジムにあるアシストチンニングマシン、つまり重りの重さで体を支えてくれるマシンでのやり方を扱います。最初に知っておきたいのは数字の向きです。このマシンは、補助重量の数字を上げるほど楽になり、下げるほどきつくなります。
NASM(National Academy of Sports Medicine、全米スポーツ医学アカデミー)の懸垂(プルアップ)の解説は、まだ自重で懸垂ができない人に、バンド補助の懸垂やアシストプルアップマシンで引く力をつけるよう勧め、力がつくにつれて補助を少しずつ減らし、一人で懸垂ができるようになるまで進めるよう書いています。以下は、その過程をマシンの前で順番に書いたものです。
アシストチンニングの重量設定 — 数字が大きいほど楽になります
アシストチンニングマシンで選ぶ重量は、持ち上げる重さではなく、体を押し上げてくれる重さです。ピンを差した重りが、体を支えるパッドを上へ押し上げ、重りを多くするほどその力が大きくなります。じっとぶら下がっているとき、体重は腕が持ち上げる分とパッドが支える分に分かれるので、パッドが多く支えるほど、腕が持ち上げる分は小さくなります。
重りを自分で引き上げるウエイトマシンとは、数字の向きが逆です。ラットプルダウンのようにハンドルで重りを引き上げるマシンでは、ピンを差した重りがそのまま持ち上げる重さなので、数字が大きいほど重くなります。アシストチンニングマシンは、数字が大きいほど軽くなります。このマシンで「重量を上げる」とは、運動を楽にするという意味です。
数字で考えるとこうなります。体重が70kgで、マシンが表示された数字のとおりに支えてくれるとすると、30に差したとき腕が持ち上げる分は40kg、20に差すと50kgです(じっとぶら下がった状態で)。数字を30から20に下げたのは、10kg分きつくしたということです。
マシンごとに、数字が表す力が同じとは言えません
上の計算には「表示された数字のとおりに支えてくれるなら」という前提が付いています。重りがパッドを押す力は、重りの重さだけでは決まりません。滑車やてこがどんな比率でつながっているかによって、重りの重さより小さくも、大きくも伝わることがあります。そのため、マシンに書かれた数字が実際に体を支える力と同じだとは言い切れず、別のジムのマシンの数字と比べることもできません。
その代わり、1台のマシンの中では数字が基準になります。国際スポーツバイオメカニクス学会(ISBS)の学術大会で発表されたEmersonら(2014)は、マシンで補助するとトレーニングの負荷を数字で把握できることを利点に挙げ、バンドや補助者では負荷を数値で把握できないと書いています。同じマシンで同じ数字に差せば、前回と同じ補助をもう一度受けられます。ですから記録は「どのマシンで、数字はいくつで、何回」と残し、数字の単位もそのマシンに書かれているとおりに書き写しておきます。
最初の数字の決め方 — 1セットをぎりぎりこなせるところ
PULL UP KINGには、マシンの数字を決める基準は特にありません。アプリにあるのはバンドの太さを選ぶ基準ですが、補助の大きさを決める基準なので、マシンの数字にも当てはめられます。決めた回数で1セットやってみて、ぎりぎりこなせたら合った数字です。ずっと楽にこなせたら数字を下げ、半分もこなせなかったら数字を上げます。
アプリのバンドの案内には、1回もできない状態なら、たいていは手持ちの中でいちばん太いバンドから始めると書かれています。マシンなら、大きい数字のほうから始めることになります。NASMのバンド補助懸垂の解説も、最初は補助の大きい太いバンドを使うよう書いています。
アシストチンニングマシンの使い方 — 乗る前から降りた後まで
マシンに説明の図が貼ってあれば、まずそれを見ます。そのあとの順番はこうです。
- 数字は乗る前に決めます。パッドに体重をかけると差してある重りが持ち上がるので、ピンはパッドから降りているときに差し替えます。
- 上がったら先にハンドルを握り、そのあとでパッドに体を乗せます。
- 腕を伸ばしきった位置から始めます。NASMの懸垂の解説は、腕を伸ばしきってぶら下がった姿勢をスタート位置にしています。パッドに体を乗せたまま、腕が伸びきるまでゆっくり下りてから始めます。
- 肩を先に下げてから引きます。同じ解説は、肩甲骨を下げてから、肘を下へ引き下ろしながら、顎がバーを越えるか胸がバーに近づくまで引くよう書いています。
- スタート姿勢までコントロールしながら下ります。ガクンと落ちるように下りず、腕が伸びきる位置までゆっくり戻り、次の1回もそこから始めます。
- 降りるときはハンドルを放しません。ハンドルを握ったまま、パッドから体を離します。パッドから体重が完全に抜けると、重りがパッドを上へ押し上げます。
補助を減らしていく順番 — 数字を下げた日に回数が減っても前進です
NASMのバンド補助懸垂の解説は、避けるべきミスを2つ挙げています。太すぎるバンドを使って、きつさが減り筋力の伸びが制限されること、そして力がついているのに補助を少しずつ減らしていかないことです。マシンなら、大きい数字にずっと留まることがこれに当たります。
数字を下げると、同じ動作で腕が持ち上げる分が大きくなるので、下げた日は回数が減ることがあります。PULL UP KINGのバンド区間の案内も同じことを言っています。回数が減っても後退ではなく、補助が減った分だけ自分の体重を多く持ち上げているのであって、この区間の進歩は回数を増やすことではなく、補助を減らすことです。
アプリの1〜12レベルは、この原理で組まれています。3レベルごとに、強いバンド、中くらいのバンド、軽いバンドと補助を1段階ずつ減らし、最後の3レベル(10〜12)は「混合」区間です。前半のセットはバンドなしで行い、回数が届かなくなったセットから軽いバンドを掛けます。回数を増やす段階ではなく、バンドを使うセットを減らす段階です。マシンでも同じ枠組みで数字を減らしていけます。
- 1セットをぎりぎりこなせる数字から始めます。
- 決めた回数をずっと楽にこなせるようになったら、数字を1段下げます。
- 下げた日に回数が減ったら、その数字で再びこなせるようになるまで留まります。
- いちばん小さい数字まで来たら、前半のセットはバーで自重で行い、回数が届かなくなったセットからマシンに移ります。
アシストチンニングとバンドの違い — 支え方が違います
マシンとバンドは、どちらも体重の一部を代わりに支えてくれます。違うのは、その力を生み出す仕組みです。
| アシストチンニングマシン | 懸垂バンド | |
|---|---|---|
| 支える力を生むもの | 重りの重さ | 伸びたゴム |
| 高さによって | 重りの重さは高さに関係なく同じ | 下でいちばん大きく、上に行くほど小さくなる |
| 補助の大きさ | 数字で残る | 数値で把握しにくい |
| 補助の減らし方 | ピンを1段動かす | 1段階細いバンドに替える、または足の代わりに膝にかける |
| できる場所 | マシンがある場所 | バンドを掛けるバーがある場所 |
バンドは、腕を伸ばしきった下の位置でいちばん伸びて強く押し上げ、顎がバーに近づくほど縮んで補助も小さくなります。同じバンドでも、足にかけるとより伸びて補助が大きくなり、膝にかけると小さくなります。マシンの重りはゴムではなく重さなので、パッドがどの高さにあっても、重りの重さそのものは変わりません。ただし、速く上下すると、重りが一緒に動くことで生じる慣性のために、瞬間的な力は変わることがあります。
できる場所も違います。Emersonらは、マシンは高価で、置かれていないこともあると書いています。バンドは掛けるバーさえあれば使えます。ですから、ジムではマシンの数字で、自宅ではバンドの太さで、同じ順番をたどれます。バンドの太さの選び方とバーへの巻き方は、懸垂バンドの使い方の記事にまとめました。
自重に移るタイミング — 数字0ではなく、バーで1回
マシンの数字をどれだけ下げても、その回数はマシンの上でやった回数です。NASMの懸垂の解説は、バーに腕を伸ばしきってぶら下がり、体を自由に垂らした姿勢から始めますが、マシンでは体がパッドに支えられています。マシンの数字が実際に支える力と同じだという保証もありません。ですから、自重で懸垂ができるかどうかは、バーで実際にやってみないとわかりません。
PULL UP KINGも、補助区間が終わるところで補助なしで測り直します。12レベルを終えると、ホームに「補助なしで何回できるか見てみよう」という案内が出ます。1回以上できれば回数に応じて13レベル以上へ、0回なら「混合」が始まる10レベルに戻ります。13レベルは自重1回を5セット行う1・1・1・1・1で、アプリはここにこう書いています。「回数がガクッと落ちるのは当然だ — これまでバンドが持っていた重さまで自分で持ち上げている」。マシンからバーに移った日も同じです。マシンが支えていた分まで、これからは腕が持ち上げます。
マシンだけを使ってきた人がアプリを初めて開くときも、基準はバーです。レベルテストは補助なしで限界までできた回数で開始レベルを決め、カメラが使えなければ回数を自分で入力できます。自重で0回なら、1レベル、強いバンドの段階から始めます。アプリの補助区間はバンドや踏み台での補助を前提に作られていて、アシストマシン向けの案内は特にありません。
回数はカメラが数えます。カメラはバンドを使ったかどうかではなく動作を見て数え、顎が判定線(バーより少し下、肘の高さに引く点線)を越えた回を1回とします。反動を使ったか、下で腕を伸ばしきったかは判定しないので、この2つは自分で守ります。どこまでを1回とするかは懸垂フォームの記事に、13レベルから回数を積み上げていくやり方は懸垂の回数を増やす記事に続けて書きました。
よくある質問
アシストチンニングは何kgから始めればいいですか?
誰にでも合う数字はありません。同じ数字でもマシンの構造によって支える力が違うことがあるので、別のマシンの数字をそのまま持ってくることもできません。決めた回数で1セットやってみて、ぎりぎりこなせる数字から始め、自重で1回もできないなら大きい数字のほうから始めます。
補助の重量をどこまで減らせば、自重で懸垂ができますか?
「この数字ならできる」という基準は、この記事で確認した資料にはありません。数字を減らしていく途中で、ときどきバーで自重で1回やってみるのが、いちばん直接的な確かめ方です。PULL UP KINGも、補助区間が終わる12レベルで補助なしで測り直します。
アシストチンニングの回数も懸垂の回数に数えていいですか?
どの記録かによって違います。PULL UP KINGの1〜12レベルは補助を使うことを前提に処方が組まれていて、カメラはバンドを使ったかどうかではなく動作を見て数えます。ただ、レベルテストは補助なしで測った回数で開始レベルを決め、13レベルからは自重で積み直します。自分で記録するときも、マシンでやった回数とバーでやった回数を分けて書いておかないと、前回と比べられません。マシンの前でカメラを試すなら、顔・肩・肘・手首のどれか一つでも画面から外れるとアプリは数えない、という点をまず確認します。
アシストチンニングマシンがないときはどうすればいいですか?
バーがあれば、バンドで同じ順番をたどれます。バンドもないなら、PULL UP KINGが勧める方法は2つです。低い椅子や踏み台に片足を置いて脚で押すか、ジャンプして顎を上げてから3秒かけてゆっくり下りるかで、アプリはどちらも回数として数えます。ぶら下がりから最初の1回までの順番は、懸垂ができない人向けの記事にまとめました。
補助を1段階ずつ減らす12レベル
1〜12レベルはバンド・踏み台で補助する区間です。3レベルごとに補助を1段階減らし、12レベルを終えたら補助なしで測り直して、1回できれば13レベルの1・1・1・1・1に進みます。